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教育イベント事業 開催レポート

”これからの子どもたちに必要な力“をつけられる教師になるためには
第10回JEES教育シンポジウムを開催しました


 NPO法人全国初等教育研究会(JEES)は、2023年7月23日に第10回JEES教育シンポジウムを開催しました。先が読めない時代に、子どもたちに必要とされる力と、教師の在り方について考える内容で、国内外から1000名を超えるお申込みがあリました。
 前半は、堀田龍也理事長によるJEES教育シンポジウム第10回開催の記念講演「これからの子どもたちに、つけさせたい力について」、後半は新保元康理事にコーディネーターをお願いし、赤坂真二理事・佐藤正寿理事・盛山隆雄理事の4名によるパネルディスカッションを行いました。


■変化に応じ、子どもも教師も学ぶ

 堀田理事長は、VUCAの時代である今、大切なこととして、学習指導要領の資質・能力の三つの柱の一つである「学びに向かう力、人間性」をとりあげました。「学びに向かう力」とは、変動する時代に学ぶ意欲をもって、学び方のスキルを身につけながら自分の知識を更新する力であり、また、「人間性」とは、他者に好かれたり、頼られたりしながら、自分一人だけではなく周囲の人と組める力であると述べ、子どもたちにつけさせたい力につながると語りました。
 一方で、子どもたちがそのような力をつけるには大人の学びも重要だと言及しました。教師が学ぶ際には、自分自身や周囲の先輩の経験から学ぶだけではなく、外の意見にも触れて、時代に合わせて学校に新しい風をもたらすことも必要だということです。
 最後に、価値観が変わっている令和の時代では「自分で決められる子ども」を育てる教師が求められることに触れ、これからの学校教育のポイントは、教師が「多様な個性」と「余裕」をもつこと、また、管理職も、若い教師が先輩教師とは違う時代を生きていることを理解し、働きやすい環境にすることが重要だとまとめました。

■周囲を巻き込みながら学ぶ

後半のパネルディスカッションでは、佐藤理事よリ好きな教科ランキングで社会が最下位であるという調査結果をもとに、社会科では特に主体的に追究する力を育てる必要性があり、この追究力は教材の仕掛けと発問で育てられると説明しました。
 コンビニエンスストアでおにぎリの隣に陳列されている商品を考える授業例をもとに、若い先生が教材を追究し、学びやすい場をつくることが大切だとも述べました。
 盛山理事は、求めなくても情報が降ってくる時代のなかで、「自分がやリたいことを見つける、課題を設定する力」「知識を使う原動力となるものの見方・考え方」をつけさせたいとコメント。かけ算の式と答えをもとに、「答えが1小さい式を考える方法」についての授業事例のほか、「STEM+総合活動の授業づくり」では、個々の興味をもとに学級全体を巻き込む活動にまで広げた事例の紹介もありました。

赤坂理事は、日本人の幸福度が他国と比べて低いという調査結果をもとに、「人とのつながリ」が幸福感や希望をもつことに影響するという分析をしました。その上で、ただ教科書の内容を子どもに伝えて勉強を教えればよ いという時代はすでに終わっておリ、学校教育では、「他者の個性を理解する力」「他者に働きかける力」などを身につけるべきだと述べました。
 このあと、参加者からの事前アンケートや質問をもとにパネルディスカッションは進み、シンポジウムは大盛況のなか終わリました。JEESはこれからも若い先生方を応援する事業を展開していきます。

■参加された方々の感想

  1. 若手教員の人材育成について葛藤していましたが、まずは自分自身が柔軟にならなければいけないと思いました。
  2. 学校のなかだけで視野が狭くならないよう、自分から学びに向かう姿勢を子どもたちと同様に大切にしていきたいと思います。
  3. これから社会で起こることを見通して、子どもたちにつける力について、もう一度議論する必要を感じました。